Gmailの要約が、開く前に届く。Google Workspace StudioとGemの作り方

朝、受信箱を開くと、未読のメールが並んでいる。開いて、最後まで読んで、ようやく「これは返信が要らない共有だった」と気づく。こういう朝を、今週だけで何回過ごしましたか。

Google Workspace Studioで、メールの3行要約が自分のGmailにメールで届く仕組みを作ります。これは、届くたびにメールを開いて、AIに要約を頼んでいる人向けの内容です。プログラミングは不要です。書くのは、日本語の指示文だけです。要約するのは、自分専用のGem(指示を保存しておいた、自分専用のGemini)です。

できあがりは、次の3行です。数字と名前は例です。
A商店から、10月分の請求書。
内容を確認して、支払いの承認を返す。
期限は10月31日。

目次

1 毎日の手間の正体

正体は、届くたびに、開く、コピーする、貼る、頼む、を自分の手で始めていることです。この始める役を、フロー(「このメールが届いたら、これをする」を保存した、自動の仕組み)に移します。

2 Workspace StudioとGemとは何か

Google Workspace Studioは、Googleが2025年12月に提供を始めた、フローを作る道具です。
プログラミングは不要です。公式の紹介ページにも「コーディングは不要です」とあります。Zapierのような外部の自動化サービスを別に契約しなくても、Workspaceの中だけで組めます。
2026年4月22日に、Gemをフローの途中で呼び出す「Ask a Gem」が公式に発表されました。

下の図が、今日つくるフローです。

今日つくるフローの3つの流れ(メールが届いたとき、Ask a Gem、自分にメール)

作る順番は、Gemが先です。Ask a Gemの一覧に出るのは、知識にGoogleドライブのファイルを入れたGemです。写真など他の形式を入れたGemは出ません。知識とは、Gemが読む資料です。

3 手順1 Gemに読ませる文書を作る

つまずきやすいのは、アカウントです。Googleドライブ、Gemini、Studioは、同じ仕事のアカウントで開きます。
①Googleドライブのトップを開きます。
②「新規」から、Googleドキュメントを作ります。
③文書の名前は、「メール要約の決まり」にします。
④下の全文を、空の文書に貼ります。
⑤【 】が付いた行を、自分の仕事の言葉に書き替えます。

ここから貼ります。

メール要約の決まり

1 要約の書き方
要約は3行にします。
1行目は、誰から何の用件かを書きます。会社名と名前が分かるときは、両方書きます。
2行目は、私がやることを書きます。「確認して返信する」のように、動詞で終えます。
3行目は、期限を書きます。日付が書かれていれば、その日付をそのまま書きます。

2 言葉の決まり
対応が必要とは、私に返信、確認、支払い、承認のどれかが求められている状態です。
私が何もしなくてよいメールは、2行目に「対応不要」と書きます。
期限が書かれていないときは、3行目に「期限の記載なし」と書きます。
メールに書かれていないことは、推測して書きません。

3 私の仕事の言葉
【取引先や案件の名前】は、【その相手との関係や、案件の中身】です。

ここまでです。

最後の1行が穴埋め欄です。記入例を2つ示します。
A商店は、毎月請求書を送ってくる仕入先です。
桜案件は、春の販促キャンペーンの準備のことです。
言葉が増えたら行を足し、書き替えない行は消します。

4 手順2 Gemを作る

「ドライブから追加」には、Geminiアプリの「アクティビティの保存」のオンが要ります。Google Workspaceの接続も要ります。接続を求める表示が出たら、従って許可します。
①Geminiのアプリを開きます。
②画面のサイドバーを開くアイコンを押します。
③サイドバーの「Gem」を押します。
④続けて、「Gem を作成」を押します。
⑤「Gem の名前」の欄に、「メール3行要約」と入力します。
⑥「カスタム指示」の欄に、下の全文を貼ります。

ここから貼ります。

あなたは、私宛てに届いたメールを要約する係です。
次のルールで、日本語で答えてください。
1 3行にまとめる。
2 1行目は、誰から何の用件かを書く。
3 2行目は、私が何をする必要があるかを書く。なければ「対応不要」と書く。
4 3行目は、期限を書く。書かれていなければ「期限の記載なし」と書く。
5 メールに書かれていないことは、推測して書かない。
6 挨拶や飾りの言葉は書かない。
7 知識にある「メール要約の決まり」を先に読み、その決まりと私の仕事の言葉に従う。

ここまでです。

⑦「知識」の欄の下にある「ファイルを追加」アイコンを押します。
⑧出てきた中から、「ドライブから追加」を選びます。
⑨「メール要約の決まり」を選びます。一覧に出ないときは、文書がGoogleドキュメントか、同じアカウントかを見ます。それでも出なければ、管理者に聞きます。
⑩最後に、「保存」を押します。
⑪作ったGemを開き、実際のメールを1通貼って、3行で返るかを確かめます。うまく返らないときは、「8 要約がずれたときの直し方」に進みます。

Gemの中身は3つ(名前・カスタム指示・知識)

5 手順3 Studioでフローを組む

Ask a Gemは、フローのほかのステップの中身を知りません。届いたメールの本文は、変数(渡す情報)として渡します。次の文を、あとで入力欄に貼ります。

ここから貼ります。

次のメールを、あなたのカスタム指示と、知識にある「メール要約の決まり」に沿って、3行に要約してください。
差出人がメールの中に書かれていないときは、1行目に「差出人は不明」と書いてください。

メールの本文:
【ここに、メールの本文を差し込む】

ここまでです。

最後の【 】は、貼ったあとで、メール本文の変数に置き替えます。置き替えの画面は、画面の案内に従います。置き替えられていないと、要約に「【ここに、メールの本文を差し込む】」がそのまま出ます。「メール本文が見当たりません」と返ることもあります。そのときは、⑧に戻ります。
①ブラウザで、studio.workspace.google.com のページを開きます。
②画面の「New flow」を押します。
③「Choose a Starter」の画面が出たら、「When I get an email」を選びます。
④メールの条件を付けます。条件は、件名、添付ファイル、ラベルで絞れます。件名に「請求書」を含む、などです。
⑤次の「Choose a step」の画面で、「Ask a Gem」を選びます。
⑥Gemを選ぶ欄を開き、「メール3行要約」を選びます。
⑦プロンプト(AIに送る文章)の入力欄に、用意した文を貼ります。
⑧ここで、【 】の部分を、メール本文の変数に置き替えます。
⑨もう1つステップを追加して、「Notify me by email」を選びます。自分のGmailに、通知のメールを送るステップです。
⑩入力欄に、Ask a Gemの答えを差し込みます。欄の名前は画面に合わせます。
⑪最後に、画面の上にある鉛筆アイコンから、フローに名前を付けます。
⑩に件名を入れる欄があるときは、条件に使った言葉(例:請求書)を、通知メールの件名に入れません。
差出人や件名を変数として渡せるかは、公式の説明で確認できていません。

6 手順4 動かす前に確かめる

Test runは、オンにする前の試し実行です。ただし、試しでも本物が送られます。宛先が自分だけか、実行の前に見ます。Test runは、直近の条件に合うメールを自動で選びます。

Test runを押す前に、宛先を見る

①先に、自分宛てに、件名に「請求書」と入れたテストメールを1通送っておきます。
②画面の「Test run」を押します。
③「Start」を押します。
④自分のGmailを開き、届いているか確かめます。
⑤問題がなければ、「Turn on」を押します。
動いたかどうかは、フローの一覧(画面の表記はFlows)の「Activity」で見られます。完了、実行中、問題あり、で絞り込めます。

7 動かないとき

見る場所は3つです。Gmailの中に出るStudioのアイコンの赤い点。「My flows」に出るメッセージ。「Activity」の赤い点です。

動かないとき、見る3か所

公式の説明で確認できた原因は、5つです。
①Gemが選択肢に出ない。知識がGoogleドライブのファイルか見て、「ドライブから追加」で入れ直してみます。
②「ドライブから追加」が使えない。「アクティビティの保存」と、Google Workspaceの接続を見直します。
③「プロンプトが長すぎる」というエラー。プロンプトに差し込む変数の数を減らします。
④まったく動かない。Gmailの「スマート機能」と「Google Workspaceのスマート機能」を、両方オンにします。
⑤しばらくして止まっていた。6か月間実行されないと、自動でオフになります。「My flows」から、オンに戻します。
操作の見落としでも、要約に「【ここに、メールの本文を差し込む】」がそのまま出ます。見る先は、手順3の⑧です。
知識の文書が「ドライブから追加」の一覧に出るかどうかの出方は、公式ヘルプで確認できていません。

8 要約がずれたときの直し方

直す先は、知識の文書です。差出人や用件が違うときは、3番「私の仕事の言葉」に、その相手や案件の行を足します。
返信が要るのに「対応不要」と出るときは、2番「言葉の決まり」に行を足します。例として、A商店の場合を示します。
A商店からの請求書は、支払いの承認が求められているので、対応が必要です。

9 応用 決まった時刻に、まとめて1通で受け取る

請求書が1日に10通届けば、要約の通知も10通届きます。受信箱が減らず、増えます。そこで、決まった時刻に、未読をまとめて要約して、1通だけ受け取ります。
①「New flow」を押します。
②「Choose a Starter」の画面で、「On a schedule」を選びます。
③時刻と頻度を決めます。
④「Choose a step」の画面で、「Recap unread emails」を選びます。
⑤期間を、Today、Yesterday、Last 7 days、Last 30 daysから選びます。
⑥もう1つステップを追加して、「Notify me by email」を選びます。
⑦要約の結果を、通知メールの中身に差し込みます。欄の名前は、画面の案内に従います。
⑧「Test run」から「Start」を押し、自分のGmailに1通届いたら、「Turn on」を押します。
公式のテンプレートに、「Get a daily summary of unread emails」があります。ただし通知先は、Google Chatです。メールで受け取りたいときは、最後を「Notify me by email」に替えます。
今日作った1本は残し、増えて困ったら、この1本を足します。

10 制約は2つ

①使える人が限られます。対象は主に、仕事や学校のアカウント向けで、管理者がフローの作成とGeminiの機能を許可している必要があります。個人のアカウントは、Google Workspace Experimentsへの参加が必要と案内されています。
②間違った要約が、黙って届き続けます。最初の数日は、要約と元のメールを見比べます。

11 まとめ

今日つくったのは、届いたメールが自分専用のGemで3行に要約され、自分のGmailにメールで届く流れです。

ここまでが、1人で設定できる範囲です。要約がずれたときに、自分の仕事の言葉に合わせてGemの指示と知識の文書を直していくところは、全6回・1回2時間のオンライン講座で一緒に進めています。

※2026年9月20日現在の情報です。

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講師紹介

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