Claude Codeに「前回の続き」を覚えさせる仕組みを作る

目次

1 なぜこの仕組みが要るのか

Claude Codeを開くたびに、同じ前提を打ち込んでいないでしょうか。

「このプロジェクトの背景ですが」「うちの商品はこういう特徴で」「先月はこの数字が課題でした」。相手はAIなのに、まるで新しく入った部下に、毎回イチから仕事を教え直しているような感覚になります。

これは、Claude Codeが悪いわけではありません。Claude Codeは会話ごとに独立していて、前のやり取りを自分から覚えておく仕組みを、最初から持っていないだけです。逆に言えば、覚えておく仕組みさえこちらで用意すれば、Claude Codeは前提を説明されるのを待つAIから、前提を自分で思い出すAIに変わります。

この記事では、Claude Codeの「Hooks」という機能と「Skills」という機能を組み合わせて、会話の要点をObsidianという無料のメモアプリに自動で書き残し、次回以降Claude Code自身がそれを読み込んで使う仕組みの作り方を書きます。設定はすべて日本語の依頼文でClaude Codeに作らせるので、JSONファイルやプログラムを自分で書く必要はありません。

2 よくある困りごとを具体的に見る

たとえば、毎朝メールの返信をClaude Codeに頼んでいる人がいるとします。「弊社の商品はこういう特徴で、いつもこのトーンで書いてほしい」という前提を、頼むたびに一から打ち込む。3日目まではまだいいのですが、2週間、1ヶ月と続くと、同じ文章を何度も打っている自分に気づきます。

月次の報告資料づくりでも同じことが起きます。「先月はこの数字が課題だった」という背景を、資料を作るたびに説明し直す。過去のやり取りをさかのぼって思い出すのは自分の役目で、Claude Codeはいつも白紙の状態から話を聞いています。

もうひとつ、見落としやすい失敗があります。プロジェクトが長く続くと、決めごとが増えていきます。細かい合意が積み重なるのに、それを自分の記憶だけで管理しようとすると、前回「Aにする」と決めたのに今回うっかり「Bにして」と頼んでしまい、Claude Codeが素直にBで進めてしまうことがあります。Claude Code自身は矛盾に気づく手立てがないので、こちらが管理を担うしかありません。

こうした「説明の使い捨て」と「決めごとの取りこぼし」を減らすのが、これから作る仕組みの役目です。

3 Hooksとスキル、それぞれの役割

Claude Codeには、作業のタイミングに合わせて自動でコマンドやプロンプトを実行できるHooksという仕組みがあります。公式ドキュメントによると、セッションが始まる・終わるといったセッション単位のタイミング、Claudeが返事を返し終えたといったターン単位のタイミング、ツールを使う前後といったツール単位のタイミングなど、複数のイベントで動かせます。実行のさせ方も、決まったコマンドを実行する形、外部の仕組みに問い合わせる形など、いくつかの種類が用意されています。

もうひとつ、決まった作業手順やルールを「スキル」として登録しておける仕組みもあります。公式ドキュメントによると、スキルは`SKILL.md`というファイルに、名前と「どんなときに使うか」の説明を書いておくもので、頼まれた話題がその説明に近いと、Claude Codeが自動でスキルを呼び出し、書いてある手順どおりに動きます。

この二つは役割が違います。Hooksは、会話の節目で決まった処理を自動で走らせる「記録係」です。人間に置き換えると、打ち合わせが終わるたびに、頼まなくても自動で議事録を残してくれる係のようなものです。一方のスキルは、必要になったときに自分から関連するメモを探しに行く「思い出す係」です。頼まれた作業の内容から、過去のメモを読みに行くべきタイミングをClaude Code自身が判断し、記録係が残したメモを引っ張り出してきます。

記録するタイミングを自動化する仕組み(Hooks)と、記録を使うタイミングを自動化する仕組み(スキル)は別物で、両方そろえて初めて説明抜きで話が続きます。Hooksだけだとメモは溜まるのに誰も読みに行かず、スキルだけだと読みに行く先にそもそもメモが無い状態になります。

4 保存先を用意する

まず、メモを保存する場所を決めます。すでにObsidianを使っている人は、そのメモ帳(Obsidianでは「Vault」と呼ばれるフォルダのまとまり)の中に、今回の仕事専用のフォルダを一つ用意してください。

まだObsidianを使ったことがない人は、公式サイトからダウンロードして、案内に沿って一つメモ帳を作るところから始めれば大丈夫です。今回の主役はあくまでClaude Code側の仕組みなので、Obsidianの細かい使い方は、ひとまず気にしなくても進められます。

5 記録の仕組みを作る依頼文

次に、Claude Codeのデスクトップアプリを開きます。公式ドキュメントによると、デスクトップアプリには「Chat」「Cowork」「Code」の3つのタブがあり、Claude Codeの機能を使うのは「Code」タブです。いつも仕事をしているプロジェクトを開いた状態で、次の依頼文をそのまま貼ってください。

私はこれから、あなたとのやり取りの要点を、Obsidianのメモ帳の中にある「AIメモ」というフォルダに、日付ごとのファイルとして自動で残していきたいです。セッションの区切りごとに、その回で決まったこと・次にやること・私が伝えた仕事の前提を、短い箇条書きでMarkdownのファイルにまとめて保存する仕組みを、あなたが用意してください。保存先のフォルダのパスは、私に聞いてから決めてください。設定に必要なファイルは、すべてあなたが作成してください。

この依頼文を貼ると、Claude Codeがまず保存先のフォルダのパスを聞き返してきます。そこでObsidianのメモ帳の中に用意したフォルダの場所を伝えれば、あとはClaude Codeが保存の仕組みを組む作業を進めていきます。

公式ドキュメントによると、Hooksの設定はそのプロジェクトの中だけで使う`.claude/settings.json`と、パソコン全体で使う共通の`~/.claude/settings.json`の、どちらかに書き込む仕組みになっています。プロジェクトごとに仕事の内容が違う人は、「このプロジェクトだけで使う設定にしてください」と自分から伝えておくと、話がスムーズに進みます。実際にClaude Codeがどう聞き返してくるかは、そのときの会話の流れによって変わります。もし保存先や設定の範囲について聞かれたら、そのまま日本語で答えれば進みます。

6 思い出す仕組みを作る依頼文

最後に、残したメモを次回以降に読み込ませるための依頼をします。同じチャットで、続けて次の依頼文を貼ってください。

先ほど作った「AIメモ」フォルダの中身を、私が新しく作業を頼むときに、あなたが必要に応じて自分で読みに行けるようにしてください。私がこのプロジェクトの過去の経緯や決めごとについて聞いたとき、あるいは新しい作業を頼まれた最初のタイミングで、まず「AIメモ」フォルダの中の最近のファイルを確認してから答えるようにしてください。この読み込みのルールも、あなたが仕組みとして保存してください。

ここまでで、会話が終わるたびに要点が自動でメモに残り、次の会話が始まるときにはClaude Codeがそのメモを自分から確認しに行く、という一連の流れができあがります。読者側がやる作業は、フォルダを一つ用意することと、この二つの依頼文を貼ることだけです。

これで何が変わるかというと、これまでは会話を始めるたびに「以前はこう決めた」「この件の背景はこうだった」と、こちらから前提を説明し直す必要がありました。この仕組みを入れた後は、新しい作業を頼んだ最初の一言で、Claude Codeが先にAIメモフォルダの中身を確認してから答えるようになるため、こちらが前提を説明しなくても、前回の続きから会話が始まります。「毎回思い出させる」側から「AIが自分で思い出しに行く」側へ、主導権が入れ替わるイメージです。

7 つまずくのはここ

セッションが終わるタイミングでメモを残す仕組みは、実際に反応が返ってくるまで少し待つ必要があります。うまく動いているか最初に確かめたいときは、セッションが完全に終わるのを待つより、Claudeが一回の返事を返し終えたタイミングで動く設定にして試すほうが、反応が早く目に見えて分かりやすくなります。うまく動いているのを確認できてから、セッションの区切りで動く設定に戻す、という順番で試してみることをおすすめします。

また、Obsidianのメモ帳のフォルダの場所は、パソコンの環境によって見え方が違うことがあります。Claude Codeがパスを聞いてきたときに迷ったら、いったんObsidianの側で「このメモ帳はどこに保存されているか」を確認してから、そのままの場所を伝えるのが確実です。うまくいかない箇所が出てきたら、そのままClaude Codeに「ここがうまく動かない」と伝えれば、原因を一緒に探ってくれます。

もうひとつ気をつけたいのが、Hooksには複数の動かし方の種類があるという点です。決まったコマンドを実行する形のほかに、外部の仕組みに問い合わせる形など、いくつかのタイプが用意されています。最初からこの中の凝ったタイプに手を出そうとすると、設定の途中でつまずきやすくなります。まずは「決まったコマンドを実行する」といういちばんシンプルな形で一度動かしてみて、うまく動くことを確認してから、必要に応じて他のタイプを試すという順番をおすすめします。

8 正直に書いておきたい制約

ひとつは、Obsidianを使ったことがない人は、この仕組みを試す前にObsidian自体を用意する手間がかかるという点です。もうひとつは、Hooksはいま使っているパソコンの上で動く仕組みだという点です。会社と自宅など、複数のパソコンでClaude Codeを使い分けている人は、それぞれのパソコンごとに同じ設定をやり直す必要が出てくる可能性があります。

さらに、この仕組みはあくまで「Claude Codeとのやり取りの要点」を記録するものであり、記録の中身が正しいかどうかは、書き残す指示の作り方次第です。何を「決まったこと」として残すかを曖昧なまま頼むと、後で読み返しても要点が拾いにくいメモになることがあります。依頼文の中で「決まったこと・次にやること・私が伝えた仕事の前提」のように、残す項目をはっきり指定しておくのは、そのためです。

9 応用の広げ方

この仕組みは、1つのプロジェクトだけで使うものではありません。仕事の種類ごとにフォルダを分ければ、そのまま複数の仕事に広げられます。「AIメモ/クライアントA」「AIメモ/クライアントB」のようにフォルダを分けて読み込み先を指定すれば、案件ごとに前提を分けて覚えさせることができます。

記録係(Hooks)と思い出す係(スキル)という役割分担の考え方は、Obsidian以外の保存先にもそのまま応用できます。「決まった節目で自動で書き残す」「必要なときに自分から読みに行く」という2段構えの発想そのものが、この仕組みの本体です。

10 まとめ

この仕組みができると、Claude Codeは前提を説明されるのを待つAIから、前提を自分で思い出すAIに変わります。毎回の打ち直しが減るだけで、AIに仕事を任せる感覚はかなり変わってきます。

同じ仕組みの解説は、自社サイトのブログでも読めます。あわせてご覧ください。

ここまでが、1人で設定できる範囲です。実際の業務に合わせて仕組みを組み立てるところは、全6回・1回2時間のオンライン講座で一緒に進めています。(プロフィールからどうぞ)

※2026年9月22日現在の情報です。

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講師紹介

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