議事録も規程集も、漫画を入り口にすれば読まれる

「この規程、目を通しておいて」と言われて渡された数十ページのPDFを、開いたまま数日放置していないでしょうか。営業の議事録も同じで、会議の翌週にはもう誰も見返しません。書いた本人だけが中身を覚えていて、他の人にとっては存在していないのと同じ状態になっています。

今回は、画像生成AIと最新のAIモデルを組み合わせて、社内の文字だけの資料を漫画や新人向けのハンドブックに作り替える、という試せる手順を紹介します。向いている資料であれば、1ページぶんから今日のうちに試せます。資料を作っても誰にも読まれずに終わっている人向けの内容です。特別なソフトを新しく買う必要はなく、いつも使っているChatGPTの画面だけで進められます。

目次

1 これは何か

使う道具は2つあります。ひとつは、正式にリリースされている画像生成AI「ChatGPT Images 2.5」です。もうひとつは、OpenAIの最新の言語モデル「GPT-6 Astra」です。文章を読んで作業の段取りを組み立てる力が強く、長い作業を自分の判断で進め続けられるのが特徴です。

この2つを組み合わせると、社内サイトの説明文や営業の議事録、規程集といった文字だけの資料を、絵入りの漫画やハンドブックに変えられないか、という発想が生まれます。これはOpenAIが公式に用意している機能ではありません。2つのAIを順番に使い、間で人が指示を出すことで実現する、プロンプトの工夫です。

台本づくりと絵づくりを、それぞれ得意なAIに分けて任せる、という考え方がポイントです。1つのAIに最初から最後まで丸ごと任せるのではなく、文章を扱う工程と絵を扱う工程を分けることで、それぞれの得意なところだけを引き出せます。

工程を分けておくと、やり直しも部分的で済みます。台本の出来が気に入らなければ台本だけを直せばよく、絵の出来が気に入らなければ絵だけを描き直させればよい、という具合です。1つのAIに丸ごと任せて、気に入らない部分があるたびに最初からやり直すよりも、結果的に手戻りが少なくなります。

2 なぜ資料は読まれないのか

資料が読まれない理由は、たいてい「文字だけで、量が多い」ことにあります。規程集も議事録も、正確さを優先して作られているため、1文が長く、専門用語もそのまま使われます。読む側は、内容を理解する前に、文字の量そのものに気持ちが折れてしまいます。

漫画やハンドブックは、この壁を下げる道具です。絵と短いセリフに分解すると、読む前の心理的なハードルが下がります。正確さがすべて必要な場面では原文を残しつつ、まず全体像をつかんでもらうための入口として使う、という位置づけが現実的です。

量を減らすのではなく、読み始めるまでの心理的な距離を縮める、という考え方に近いものです。中身をすべて漫画に置き換えるのではなく、最初の数ページだけでも絵にしておくと、そこから先の文字資料にも自然と目が向きやすくなります。

3 向いている資料・向いていない資料

すべての資料が漫画向きというわけではありません。向いているのは、登場人物と場面を思い浮かべやすい資料です。例えば、営業の商談の流れを説明した議事録や、新人が最初につまずきやすい社内ルールの説明などは、会話のやり取りに置き換えやすく、漫画との相性が良い題材です。

反対に、数値の一覧や、条文の細かい言い回しそのものが意味を持つ規程は、絵にすると情報量が減るだけで、かえって分かりにくくなることがあります。こうした資料は、漫画を入り口にしつつ、詳しい数値や条文は別のページにそのまま残しておくほうが安全です。まずは、会話やその場のやり取りが想像できる資料から試すと、失敗が少なくて済みます。

迷ったときの目安は、その資料を声に出して人に説明できるかどうかです。声に出して説明しやすい資料は、漫画のセリフにも置き換えやすく、向いています。反対に、数字を読み上げるだけで説明が終わってしまう資料は、漫画に向いていません。

4 やり方

①変えたい資料の文章を、テキストのままコピーしておきます。議事録でも規程集でも、文字だけの状態で構いません。

②GPT-6 Astraに文章を渡し、登場人物と場面とセリフに分けた台本を作らせます。長く自分の判断で動き続けるモデルですが、終わりの条件を伝えないと、全部でき上がる前の途中の状態で「これでよいですか」と確認を求めて手を止めてしまうことがあります。先に「台本が完成したら終わり」と終わりの条件をはっきり伝えておきます。

③台本ができたら、ChatGPT Images 2.5に1コマずつ絵を描かせます。ChatGPTの画面で「@Sketch」と打つと、その場でこちらが描いたラフな線をもとに絵を作れる機能があります。先に構図を軽く描いて渡すと、狙った絵に近づきやすくなります。細部だけ直したいときは、直したい場所をコメントで指定すれば、そこだけ描き直してもらえます。

5 そのまま使える依頼文

台本を作らせる段階で、次の文章をそのまま貼って使えます。文章の後ろに、変えたい資料の文章を続けて貼ってください。

「次の文章を、4コマの漫画の台本にしてください。登場人物は上司と新人の2人にしてください。専門用語が出てきたら、新人が聞き返す形のセリフで説明してください。台本が完成したら、そこで作業を終えてください。追加の提案や修正の提案は不要です。文章はこの下に貼ります。」

この記事をもとに漫画を見開きで作ってみました。

6 つまずくのはここ

GPT-6 Astraは、完了の条件をはっきり伝えないと、全部でき上がる前の途中の段階で「これでよいですか」とこちらに確認を求め、手を止めてしまうことがあります。長く自律的に動くモデルは、終わりの条件を使う側が先に決めて伝える必要があると、OpenAIの開発者向けブログでも案内されています。依頼文の中に「台本が完成したら終わり」と書いておくと、途中で止まらずに最後まで作らせやすくなります。

これを知らずにいると、途中の状態で戻ってきた台本を、完成品だと思い込んでそのまま使ってしまうおそれがあります。4コマのうち後半が抜けていたり、セリフが途中で終わっていたりしても気づきにくいので、台本を受け取ったら、まず頼んだコマ数がそろっているかを数えて確かめる習慣をつけておくと安心です。

もうひとつ気をつけたいのが、絵を直すときのコメントの使い方です。複数のコマをまとめて一度に直そうとすると、どこをどう変えたいのかが伝わりきらないことがあります。コマごとに直したい点を1つずつ伝えると、狙った形に近づきやすくなります。

複数のコマを作るときは、画風がコマごとにばらついてしまうこともあります。最初の1枚で気に入った画風が出たら、そのときに使った言い回しをそのまま次のコマの依頼文にも使い回すと、画風がそろいやすくなります。ばらばらの画風のまま並べると、続けて読んだときに違う作品を見ているような印象になってしまいます。

7 こんな使い方は失敗しやすい

登場人物を欲張って4人以上にすると、1コマに収まるセリフの量が増え、結局文字だらけの漫画に戻ってしまいます。上司と新人の2人に絞ると、説明役と聞き役がはっきりして、セリフが自然に短くなります。

専門用語をそのままセリフに使うのも、避けたほうがよい使い方です。せっかく漫画にしても、用語の意味が分からなければ、読む側の負担は文字資料のときと変わりません。依頼文にある「新人が聞き返す形のセリフ」を入れ、用語が出るたびに一言で説明させる形にすると、この失敗を避けられます。

規程集のように、細かい条文の一字一句が重要な資料を、漫画だけで済ませようとするのも危険な使い方です。絵にする分だけ元の情報は削られます。漫画は入り口として使い、正確な文章は別に残しておく、という前提を崩さないことが大切です。

作った漫画をそのまま配って終わりにするのも、もったいない使い方です。読んだ人に一言でも感想を聞き、意味が伝わっていない部分が無いかを確かめると、次に作る資料の精度が上がっていきます。1回で完成させようとせず、配ってから直す前提で作ると気が楽になります。

8 どこまで応用できるか

議事録や規程集以外にも、就業規則の要点、業務マニュアルの手順、朝礼で共有する連絡事項など、文字だけで配られている資料であれば同じ手順を当てはめられます。特に、新しく入った人に最初に渡す資料は、量が多いわりに読まれにくいため、漫画やハンドブックへの作り替えと相性が良い題材です。

登場人物を、実際にその資料を読む部署の名前に寄せておくと、読む側は自分に関係のある話だと気づきやすくなります。上司と新人の組み合わせに限らず、先輩と後輩、店長とアルバイトなど、職場に実際にいる関係に置き換えて依頼文を書き替えるだけで、同じ手順のまま別の部署にも使い回せます。

社内報のお知らせ欄や、退職する人へのお礼状のように、決まった形式はあるものの毎回読まれにくい文書にも、同じ考え方を当てはめられます。「誰が」「何を」「どう感じながら」読むのかを、台本を作らせる前に一度言葉にしておくと、応用先が変わっても手順そのものは変えずに使い回せます。

まずは手元にある資料の中から、いちばん読まれていないと感じるものを1つ選び、1ページだけこの手順で試してみてください。全部を作り替える必要はありません。1つ試して手応えを確かめてから、範囲を広げるくらいでちょうどよいはずです。

文字だけの資料を配ることに慣れていると、絵に変えるという発想自体が出てきにくいものです。今回の手順は、その最初の一歩を、特別な道具を新しく揃えずに踏み出せるところに意味があります。

ここまでが、1人で設定できる範囲です。実際の業務に合わせて資料の分け方や配布のしかたを整えるところは、全6回・1回2時間のオンライン講座で一緒に進めています。(プロフィールからどうぞ)

※2026年9月14日現在の情報です。

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講師紹介

初めまして、AI先生2.0こと西尾です。
現在、AIを使って中小企業の成長をお手伝いしています。
AIは、社会インフラとして、電気水道ガスと同じように社会にとって欠かせないものとなります。
これは、35年前のインターネット革命を思い出していただければわかると思います。
今、インターネット革命を超える「AI革命」を商機と捉え、一緒に会社を飛躍するお手伝いをします。
今がその時、その時が今です。
AIに興味がある方は、ご連絡ください。https://up-on.jp

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